ship の意味とは?「推しカプ」は英語で?ネットスラングの意味・由来・使い方を解説

ship の意味とは?ネット用語の使い方・由来を解説 恋愛スラング

ship の意味とは?

ship は、英語スラングで「2人をカップルとして応援する」「恋愛関係になってほしいと願う」という意味です。

もともと「relationship(恋愛関係)」の末尾を短縮した言葉で、SNSやファンコミュニティでは「〇〇と△△を ship する」のように動詞として使います。実在の人物にも、映画・ドラマ・アニメ・ゲームのキャラクターにも使え、日本語の「推しカプ(推しカップリング)」にあたる概念です。

ship は単なるスラングではなく、ファンダム文化の根幹をなす概念です。ファンフィクション、ファンアート、考察、SNSでの議論——ファン活動の多くは、何らかの形で ship を中心に回っています。

ship の関連用語を整理

ship を理解するために、まず派生語を整理しておきましょう。

ship(名詞)特定の2人(以上)のカップリング。「My ship is Mulder/Scully(私の推しカプはマルダー×スカリー)」のように使う。
ship(動詞)2人をカップルとして応援すること。「I ship them(この2人を応援してる)」。
shipping(名詞)ship する行為、またはその文化全体。「shipping culture」と言えばカップリング応援文化のこと。
shipper(名詞)特定の ship を応援しているファン。「I’m a Destiel shipper(デスティエル推しです)」。
ship name(名詞)2人の名前を組み合わせた造語。英語圏では2人の名前を合体させるのが一般的で、たとえば Draco + Harry = 「Drarry」、Dean + Castiel = 「Destiel」など。日本のカップリング表記(「攻め×受け」方式)とは異なるスタイルです。

ship はどんな時に使う?

フィクション作品のキャラクターに対して

最も一般的な使い方です。映画、ドラマ、アニメ、ゲームなどのキャラクター同士を「この2人はお似合い」「付き合ってほしい」と応援する時に使います。

公式にカップルになっている場合(canon ship)も、ファンの願望としてのカップリング(fanon ship)もどちらも ship と呼びます。ファンの ship が公式で実現することを「becoming canon」と表現します。

実在の人物に対して

芸能人、インフルエンサー、スポーツ選手など、実在の人物同士を ship するケースもあります。K-POPファンダムでは特に盛んで、グループ内のメンバー同士を ship するのは日常的な文化です。

ただし、実在の人物への ship は、相手のプライバシーや意思を無視する形になりかねないため、議論の的にもなります(詳しくは後述)。

日常会話で

ファンダムの外でも、友人同士が「あの2人って良い感じだよね」と言う時に「I totally ship them」と軽く使うこともあります。

ship の元ネタ・由来

前史:Star Trek と Kirk/Spock(1970年代)

ship という言葉が生まれる前から、ファンによるカップリング文化は存在していました。

1970年代、ドラマ『Star Trek(スタートレック)』のファンの間で、カーク船長とスポックのロマンチックな関係を描いた二次創作(ファンジン)が広まりました。2人の名前の間にスラッシュ「/」を入れて「Kirk/Spock」と表記するスタイルが生まれ、これが同性カップリングを指す「slash(スラッシュ)」という用語の起源となりました。

つまり、shipping という文化の基盤を作ったのは Star Trek ファンダムですが、shipping という言葉そのものを生んだのは別の作品です。

誕生:X-Files と「relationshipper」(1990年代)

「ship」という言葉の誕生は、1990年代の『X-ファイル』ファンダムに遡ります。

主人公マルダーとスカリーの恋愛関係を望むファンたちは、自分たちを「relationshipper(リレーションシッパー)」と呼び始めました。この言葉は R’shipper → ‘shipper → shipper と短縮され、最終的に「ship」という動詞・名詞が生まれました。

一方、マルダーとスカリーはプラトニックな関係であるべきだと主張するファンは「NoRoMo(No Romance)」と自称し、shipper との間で激しい論争——いわゆる初期の「ship war」——が繰り広げられました。

拡大:2000年代以降のインターネット文化

2000年代に入ると、ship は X-Files ファンダムを超えてあらゆるジャンルに広がりました。

『ハリー・ポッター』ではハリー×ハーマイオニー派 vs ロン×ハーマイオニー派の論争が起き、『トワイライト』ではチーム・エドワード vs チーム・ジェイコブの対立が社会現象に。こうした「ship war」はファンダム文化の定番イベントとなりました。

当初、shipper は異性カップリング(het)を応援するファンを指し、同性カップリングのファンは「slasher」と呼ばれていました。しかし2000年代初頭から、ship はあらゆる種類のカップリング(het、slash、femslash)を包括する言葉へと進化しています。

ship の種類

ファンダム文化では、ship にさまざまな種類があります。

canon ship作品内で公式にカップルになっている組み合わせ。
fanon shipファンの間で人気があるが公式ではない組み合わせ。
crack ship通常では考えられないような突飛な組み合わせ。接点がほとんどない2人を組み合わせるもので、ユーモアや意外性が魅力。
ghost shipかつて応援していたが、公式展開により実現の可能性がなくなった組み合わせ。「沈没した船」の比喩。
het異性カップリング(Male/Female)。
slash男性同士のカップリング(M/M)。
femslash女性同士のカップリング(F/F)。

ship war と anti-shipper

ship war(シップ・ウォー)

同じ作品のファン同士が、異なる ship をめぐって対立する現象です。
一つのキャラクターを共有する複数の ship(たとえば「A×B」派 vs 「A×C」派)で起きやすく、ファンダムの名物であると同時に、時に深刻な対立に発展することもあります。

anti-shipper と pro-shipper

2016年頃から、「anti-shipper(アンチシッパー)」と「pro-shipper(プロシッパー)」という対立構造が生まれました。

anti-shipper(anti)道徳的な理由から特定の ship に反対するファン。年齢差のある組み合わせ、近親関係、敵対関係などを「problematic(問題がある)」として批判する立場。
pro-shipper二次創作はフィクションであり、どんな ship も自由に楽しむ権利があるという立場。anti-shipper に反対する人を指す。

この対立は「purity culture(純粋主義)」の議論とも結びついており、ファンダムにおける表現の自由と倫理の境界線をめぐる議論は現在も続いています。

日本の「カプ文化」との比較

ship は日本の「カプ(カップリング)」文化と非常に近い概念ですが、いくつかの違いがあります。

表記スタイル日本では「攻め×受け」の順で表記するのが一般的ですが、英語圏では2人の名前を合体させた ship name が主流で、攻め受けの概念は必ずしも含みません。
用語の違い日本語の「推しカプ」は英語の OTP(One True Pairing)にほぼ対応します。「解釈違い」は ship war の小規模版に近い概念です。
文化的な受容度日本ではコミケや同人文化としてカップリングが長い歴史を持ちますが、英語圏では AO3 や Tumblr がその役割を担っています。どちらも「ファンによる二次創作」が中心である点は共通しています。

例文・使い方

I totally ship them! They have such great chemistry.
→ この2人めっちゃ応援してる!すごくお似合いだよね
Do you ship anyone in this show?
→ このドラマで誰か応援してるカップルいる?
The ship war in this fandom is getting out of hand.
→ このファンダムのship warが手に負えなくなってきた

ship は悪い意味?ポジティブな意味?

ship は基本的にポジティブな意味で使われます。「応援する」「お似合いだと思う」という好意的な感情を表す言葉です。

ただし、注意が必要なケースもあります。

実在の人物への shipping芸能人やインフルエンサーに対して、本人の意思を無視して恋愛関係を妄想・押し付ける行為は、プライバシーの侵害として批判されることがあります。
ship war の過激化異なる ship のファン同士が攻撃し合い、ハラスメントに発展するケースも。ship の好みは個人の自由であり、他者の ship を攻撃するのはマナー違反とされています。
problematic ship をめぐる議論年齢差、権力関係、敵対関係などを含む ship が「不適切」かどうかは、ファンダム内で常に議論される話題です。

あわせて読みたい言葉

ship と近い文脈で使われるスラングやミームを見ておくと、ニュアンスの違いがわかりやすくなります。

まとめ

ship は「2人をカップルとして応援する」という意味のスラングで、1990年代の『X-ファイル』ファンダムが生んだ「relationshipper」から派生した言葉です。

それ以前の Star Trek の Kirk/Spock から始まるカップリング文化を背景に、2000年代以降はあらゆるジャンルのファンダムに広がり、ship name、ship war、anti/pro-shipper といった豊かなサブカルチャーを生み出しました。

日本の「カプ文化」との共通点も多く、海外ファンとの交流で最も使う機会の多いスラングの一つです。

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