jossed の意味とは?
jossed(ジョスド)は「ファンの予想・理論・二次創作の設定が、後から発表された公式の展開によって否定されてしまうこと」を指すファンダム用語です。
日本語では「公式に否定された」「予想が潰された」「設定が矛盾してしまった」のようなニュアンスに相当します。
「ファンが canon(公式設定)の要素をもとに構築した精巧な理論やファンフィクションが、後続の公式展開や制作者の発言(Word of God)によって突然否定されること」を指します。
jossed はアメリカの脚本家・監督 Joss Whedon(ジョス・ウィードン、1964年6月23日生まれ)の名前から来ています。
彼が手がけた「Buffy the Vampire Slayer(バフィー 〜恋する十字架〜)」ではファンの予想を裏切る展開が頻繁に起き、シーズン間の夏休み中にファンが組み立てた精巧な理論が新シーズンの3エピソード以内に崩壊するのが恒例だったことから、この現象に彼の名前が付けられました。
jossed はどんな時に使う?
ファン理論が公式展開で否定された時
「My theory about the main character’s past got completely jossed in the latest episode(主人公の過去についての私の理論は最新エピソードで完全に否定された)」のように、作品の伏線や設定から推理した理論が後の公式展開で間違いだと判明した時に使います。
Reddit・Tumblr・Discord のファンコミュニティで新エピソード公開後に「俺の予想 jossed された」という形でよく使われます。
二次創作の設定が公式と矛盾した時
「I wrote this fanfic before season 3, so some details are now jossed by canon(このファンフィクションはシーズン3の前に書いたので、一部の設定が今では公式と矛盾しています)」のように、ファンフィクションの作者が注意書きとして「この作品は jossed されました」と記載することがあります。
AO3 では jossed された作品にタグをつけて読者に公式設定との矛盾を事前に知らせるのが定番です。
自虐ネタ・ユーモアとして
「Everyone’s headcanon got jossed and honestly it’s funnier than the actual canon(みんなの headcanon が jossed されたけど、正直公式より面白い)」のように、自分の予想が盛大に外れたことを笑い話にする自虐的なユーモアとしても使われます。
予想外の展開を楽しむファン文化の一部です。
jossed の元ネタ・由来
Buffy the Vampire Slayer と Joss Whedon の「予想裏切り」文化(1997〜2003年)
jossed という言葉の起源は1997年から2003年まで放送されたアメリカのテレビドラマ「Buffy the Vampire Slayer」とその制作者 Joss Whedon です。
Whedon は予想外の展開・衝撃的なキャラクターの死・ファンが望む恋愛関係を実現させないことで知られていました。
All The Tropes によると jossed の代表的な事例は、Buffy シーズン5でスパイクの sire(吸血鬼としての生みの親)が Angelus ではなく Drusilla だったと明かされた場面です。
それまでスパイクがAngelを「my sire」と呼ぶセリフからファンはAngelusがsireだと確信しており、それに基づいた大量のファンフィクションが一夜にして jossed されました。
「ファンたちはシーズン間の夏休みに精巧な理論やプロットを組み立てたが、そのほとんどが新シーズンの3エピソード以内に完全に崩壊した」のが日常でした。
オーストラリアの大学での Q&A セッションで若いファンが「あなたのカップルに対するひどい仕打ちを、私たちは”getting Jossed”と呼んでいます」と直接 Whedon に伝えたエピソードも記録されています。
TV Tropes への掲載と他ファンダムへの拡大(2004〜2000年代後半)
jossed は2004年(TV Tropes 設立年)にはすでに用語として使われており、2005年5月25日の投稿が初期の記録として残っています。
TV Tropes が jossed を作品を問わず使える一般的な「Fan Speak(ファン用語)」として掲載したことで、Buffy 以外のファンコミュニティにも急速に広がりました。
「Harry Potter」「LOST」「Supernatural」などの大型ファンダムで、公式展開とファン理論の矛盾を表す標準的な言葉として定着していきます。
Supernatural ファンダムでは jossed の反対語として「Kripked(クリプクト)」という言葉も生まれました。
これは Supernatural の制作者 Eric Kripke の名前に由来し、ファン理論が公式設定と一致した(=予想が当たった)場合を指します。
現在の使われ方と Whedon の評判変化後の議論
現在では Reddit・Tumblr・Twitter・AO3 などのプラットフォームで映画・ドラマ・アニメ・ゲームなどあらゆるジャンルの作品に対して使われています。
2020〜2021年に Joss Whedon のハラスメント問題が明らかになった後、TV Tropes コミュニティ内では「jossed という言葉を引き続き使うべきか」という議論が起きましたが、最終的に「この言葉は Whedon 個人の評判に関わらず定着したファン用語であり引き続き使用する」という結論に至り、現在も Fan Speak として掲載されています。
Fanlore の記録によると「jossing(公式が予想を覆すこと)」という現象の認識自体は Buffy 以前にも存在しており、1967年の Star Trek ファンジン「Spockanalia」第1号に「新シーズンが始まれば、私たちの美しい理論は全て粉々になるだろう」という記述がありました。
例文・使い方
jossed は悪い意味?ポジティブな意味?
jossed は基本的に中立からややネガティブな言葉です。
ファンの予想や創作が否定されることを指すため、残念な気持ちを伴うことが多いです。
特に時間をかけて理論を組み立てたり長編の二次創作を書いたファンにとっては、がっかりする出来事です。
ただしファンコミュニティでは予想が外れること自体を楽しむ文化もあります。
予想外の展開を歓迎するファンは「jossed されたけど公式の方が良かった」とポジティブに語ることもあります。
また二次創作の注意書きとして「この作品は jossed されました」と記載する場合は、単なる事実の説明として使われており、中立的です。
まれに自虐ネタとして「completely jossed(完全に jossed された)」と大げさに表現して笑いを取る使い方もあり、全体としてはファンダム文化に根付いた攻撃性のない用語です。
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まとめ
jossed は「ファンの予想・理論・二次創作が公式展開によって否定されること」を指すファンダム用語で、Buffy the Vampire Slayer(1997〜2003年)の制作者 Joss Whedon がファンの予想を頻繁に裏切る展開を描いたことに由来します。
TV Tropes での掲載(2004年〜)を機に他ファンダムに拡大し、現在は映画・ドラマ・アニメ・ゲームなどあらゆるジャンルの作品で使われる標準的なファン用語として定着しています。反対語の Kripked(予想が当たった場合)とセットで覚えておくと、ファンダム文化の議論がより楽しめます。

