backrooms とは?
backrooms(バックルーム) は、人気のない黄色い部屋や無限に続くような不気味な空間を指すネットミームです。今回は元ネタから、日本ではあまり有名ではない詳しい設定までがっつり解説していきます。
もともとは海外の匿名掲示板 4chan に投稿された1枚の写真と短い文章から始まったネット都市伝説で、「現実からバグで落ちてしまった先にある、終わりのない空間」という設定が特徴です。
そこから Reddit や YouTube、ゲーム、ホラー動画などを通じて世界中に広まり、今ではネットホラーの代名詞ともいえる存在になっています。
2026年5月には、A24制作の映画『Backrooms』の公開も控えており、ネットミームから本格的なエンタメ作品へと進化を遂げつつあります。
backrooms はどんな時に使う?
backrooms は、現実なのにどこか現実感がなく、不安になるような空間を表したい時によく使われます。
たとえば、人のいないオフィス、古い廊下、照明の暗い通路、誰もいないショッピングモールの一角などを見て、「まるで backrooms みたいだ」と表現することがあります。
SNSでは、backrooms はミームやネットホラー表現として使われることが多いです。
不気味な写真に対して「This looks like the backrooms」とコメントしたり、どこか不自然で静かすぎる場所を backrooms にたとえたりする使い方がよく見られます。画像や動画と一緒に使われることが多く、単なる単語というより、不気味な世界観そのものを表す言葉として使われます。
backrooms の元ネタ・由来
始まりは4chanの1枚の写真
backrooms の起源は、2019年5月12日にネット掲示板 4chan の超常現象板に立てられたスレッドです。 「なんか不安になる画像を貼ってくれ(post disquieting images that just feel ‘off’)」というお題に対して、黄色い壁紙・蛍光灯・湿ったカーペットが広がる不気味な室内写真が投稿されました。
この写真に対して、別の匿名ユーザーが以下のような設定を書き込みました。
「不注意で現実から “noclip” してしまうと、backrooms にたどり着く。そこにあるのは、湿った古いカーペットの臭い、延々と続くモノイエローの壁、蛍光灯の最大音量のブーンという唸り、そしてランダムに区切られた約6億平方マイルの空っぽの部屋だけだ。近くで何かがうろついている音が聞こえたら……そいつは確実にあなたの存在に気づいている。」
この短い文章が、backrooms というミームの出発点です。 投稿自体は当初わずか数件の返信しかなかったものの、別のユーザーによって写真付きで再投稿されたことで一気に広まり、Reddit の r/creepypasta や r/backrooms に波及していきました。
noclip(ノークリップ)とは?
backrooms の世界観で重要なキーワードが「noclip」です。 これはもともとゲーム用語で、キャラクターが壁や床などの当たり判定をすり抜けてしまうバグのこと。FPSゲーム『Doom』が由来とされています。
backrooms では、この「noclip」が「現実世界からバグで落ちてしまう」という意味で使われています。 つまり、backrooms に入るのは自分の意思ではなく、現実のバグによって偶然迷い込んでしまうという設定が、このミームの核心にある恐怖です。
元の写真の正体
backrooms の象徴的なあの黄色い部屋の写真は、長い間その出所が謎とされていました。 逆画像検索でも結果が出ず、それ自体がミームの不気味さを増幅させていました。
しかし2024年5月、Backrooms専門のDiscordコミュニティの調査により、ついに元の写真が特定されました!
写真は2002年6月、アメリカ・ウィスコンシン州オシュコシュにあったホビーショップ「HobbyTown USA」の店舗改装中に撮影されたものでした。2003年に同店のウェブサイトに掲載された改装ブログの一部が、Wayback Machine(ウェブアーカイブ)を通じて発見されたのです。
あの不気味な空間の正体が「ただの改装中のホビーショップ」だったというのは、ある意味 backrooms らしいオチかもしれません。
backrooms の雰囲気がわかる例
backrooms は、ただの怖い空間ではなく、「見覚えがあるのに不自然」「人がいないのに生活感だけ残っている」といった不気味さが特徴です。 そのため、何も起きていない写真でも、照明や壁紙、空間の広さだけで不安になるような雰囲気があると backrooms っぽいと感じられます。
この感覚は「ケノフォビア(kenophobia)」、つまり広大で空っぽな空間に対する恐怖心と深く結びついています。 ホラー映画のように「何かが飛び出してくる」恐怖ではなく、「何もないのに不安になる」という、日常の裏側にある違和感を突くのが backrooms の本質です。

backrooms の「レベル」とは?
backrooms は単なる1つの部屋ではなく、ファンたちによって膨大な「レベル(階層)」が設定されています。 これはSCP Foundationと同様の「みんなで作る共同創作」の形で広がったもので、各レベルにはそれぞれ異なる雰囲気や危険度、住人(エンティティ)が設定されています。
代表的なレベル
Level 0 — 「The Lobby(ロビー)」 最も有名な最初の階層で、例の黄色い部屋そのもの。蛍光灯の唸り、湿ったカーペット、無限に続く部屋が特徴。生物は存在しないとされるが、迷い続けると精神を失うとされています。
Level 1 — 「Habitable Zone(居住可能地帯)」 Level 0の地下にあるとされる、広大な地下駐車場のような空間。照明はさらに不安定で、暗闇のゾーンが存在します。Level 0より若干生存しやすく、コミュニティの拠点が存在するという設定。
Level 2 — 「Pipe Dreams(パイプの夢)」 コンクリートの保守用通路で、パイプにヘドロがこびりついた空間。より暗く、敵対的なエンティティが出現する危険なレベル。
Level ! — 「Run for Your Life(逃げろ)」 約10kmにわたる廃病院の廊下。常に何かに追いかけられる設定の、非常に危険なレベルです。
Wiki上では数百以上のレベルが作られており、中にはユーモアのあるものや、詩的な雰囲気のものも。正式なストーリーが存在しない「みんなで作る物語」だからこそ、無限に広がり続けているのが backrooms の魅力です。
Kane Pixels と YouTube での爆発的な人気
backrooms を世界的に有名にした最大の立役者が、アメリカの映像クリエイター Kane Parsons(ケイン・パーソンズ)です。YouTubeでは「Kane Pixels」の名前で活動しています。
2022年1月、当時16歳だったパーソンズが YouTube に投稿した短編ホラー映像『The Backrooms (Found Footage)』が大きな話題になりました。 1990年代に backrooms に迷い込んだ映像制作者のVHSテープという設定で、3DCGソフト「Blender」と「Adobe After Effects」を使って制作されたこの映像は、2026年3月時点で7,300万回以上再生されています。
パーソンズはこの動画をシリーズ化し、「Async」という組織が1980年代に backrooms への入口を発見して調査を行うという独自のストーリーを展開。シリーズ全体で1億9,700万回以上の再生回数を記録しています。
このシリーズがきっかけで、backrooms はネットの一部のミームからメインストリームへと躍り出ました。 2022年のStreamy Awardsでは、The Game Theoristsからクリエイター賞を受賞しています。
YouTubeからA24映画の監督へ
そして2023年2月、A24がパーソンズの映像シリーズをベースにした長編映画の制作を発表。パーソンズ自身が監督を務めることが決まり、A24史上最年少(20歳)の監督となりました。
映画『Backrooms』は2026年5月29日に米国で劇場公開予定。キウェテル・イジョフォー、レナーテ・レインスヴェ、マーク・デュプラスなどが出演し、「家具店の地下に現れた不思議な入口から、患者を追って未知の次元に踏み込むセラピスト」の物語が描かれます。
2026年3月に公開されたトレーラーでは、無限に続く黄色い廊下、VHS風の粗い映像、そして「You are not supposed to be here(あなたはここにいるべきではない)」というキャッチコピーが印象的でした。A24は『Hereditary』『Midsommar』など雰囲気重視のホラーで知られるスタジオだけに、backrooms の「何も起きていないのに不安になる」空気感との相性は抜群です。
16歳でYouTubeに投稿した映像が、4年後にハリウッド映画になる——この流れ自体が、backrooms というミームの持つ引力の強さを物語っています。
日本ではどこで見かける?
backrooms という言葉は、日本でも動画サイトやSNS、ゲーム実況、考察系コンテンツなどで見かけることがあります。
また、大人気アニメ「チェンソーマン」の5話EDで使用された syudou さんの楽曲「インザバックルーム」というタイトルをきっかけに、この言葉を知った人もいるかもしれません。
さらに、Steamで配信されている『Escape the Backrooms』や『Enter the Backrooms』などのゲームが日本のゲーム実況者にも取り上げられ、ゲーム文脈での認知度も高まっています。
Apple TV+のドラマ『Severance(セヴェランス)』のクリエイターであるダン・エリクソンも、制作の影響源のひとつとして backrooms を挙げており、エンタメ業界全体への影響も広がっています。
例文・使い方
backrooms は怖い意味?ただのネタ?
backrooms は、文脈によってホラーっぽくもネタっぽくも使われます。
本格的なネットホラーとして扱われることもありますが、SNSでは「なんかこの場所 backrooms っぽい」と軽くネタにされることも多いです。ただし、不安感や不気味さを前提にした表現なので、基本的には明るい意味よりも不穏なニュアンスが強い言葉です。
また、backrooms のコミュニティ自体も「ガチ派」と「ネタ派」で分かれることがあります。 Reddit では、ファンが作った膨大なレベルやエンティティの設定に対して、オリジナルのシンプルな backrooms を好む人たちが r/TrueBackrooms という別のサブレディットを作るなど、コミュニティ内での温度差もあります。
あわせて読みたい言葉
backrooms と似た表現には、liminal space、analog horror、creepypasta などがあります。
まとめ
backrooms は、不気味で無限に続くような空間を表すネットミームです。
2019年に 4chan の1枚の写真と短い文章から始まり、Reddit のコミュニティで「レベル」や「エンティティ」の設定が生まれ、Kane Pixels の YouTube シリーズで世界的に有名になり、そして2026年にはA24の映画として劇場公開されるまでに成長しました。
たった1枚の写真から映画になるまでの流れは、まさにインターネット文化の力を象徴するストーリーです。

