Hail Mary の意味とは?
Hail Mary(ヘイルメリー)は、「一か八かの試み」「最後の賭け」「絶体絶命からの逆転を狙う行動」を意味する英語表現です。
成功の可能性は低いものの、他に選択肢がない状況で試みる desperate(切羽詰まった)行動を指します。もともとはアメリカンフットボールの用語ですが、現在ではビジネス、政治、恋愛、日常会話、SNSなど幅広い場面で使われる一般的な表現です。
日本語では「ダメ元」「背水の陣」「神頼み」に近いニュアンスです。
Hail Mary はどんな時に使う?
スポーツ
Hail Mary の最も原典的な使い方です。アメリカンフットボールの試合終了間際、負けているチームが一発逆転を狙って投げる超ロングパスを Hail Mary pass と呼びます。成功率は非常に低いですが、他に逆転の方法がない状況で投げられるため、まさに「神に祈るしかない」パスです。
バスケットボールやサッカーでも、試合終了直前の超ロングシュートやゴールを Hail Mary と呼ぶことがあります。
ビジネス
倒産寸前の企業が打つ大胆な戦略転換、資金が尽きる直前のスタートアップのピボット、交渉決裂寸前の最後の提案——こうした「背に腹は代えられない」場面で Hail Mary が使われます。
「They’re throwing a Hail Mary with this product launch(この製品ローンチは一か八かの賭けだ)」のような使い方が典型的です。計画的とは言えないが、やるしかない——というニュアンスです。
Hail Mary の元ネタ・由来
カトリックの祈り「アヴェ・マリア」
Hail Mary はもともと、カトリック教会の「アヴェ・マリア(Ave Maria)」という祈りの英語名です。聖母マリアへの祈りで、「Hail Mary, full of grace(恵みに満ちたマリアよ)」という一節で始まります。
この祈りが「一か八かの試み」という意味で使われるようになったのは、「成功するかどうかは神のみぞ知る=祈るしかない」というニュアンスからです。
ロジャー・ストーバックの発言(1975年)
Hail Mary がアメフトの用語として広く知られるようになったきっかけは、1975年のNFLプレーオフです。
ダラス・カウボーイズのクォーターバック、ロジャー・ストーバック(Roger Staubach) が試合終了間際に50ヤードのロングパスを投げ、奇跡的なタッチダウンで逆転勝利を収めました。試合後のインタビューでストーバックは、「I closed my eyes and said a Hail Mary(目を閉じてアヴェ・マリアを唱えた)」と語りました。
この発言がメディアで大きく取り上げられ、「Hail Mary pass=試合終了間際の一か八かのロングパス」という意味が定着。そこからスポーツを超えて、あらゆる「最後の賭け」を指す表現として広がりました。
映画・小説『Project Hail Mary』との関係
Hail Mary という言葉の知名度をさらに高めたのが、SF小説『Project Hail Mary(プロジェクト・ヘイル・メリー)』です。
アメリカの作家 Andy Weir(アンディ・ウィアー)が2021年に発表したハードSF小説。ウィアーは『The Martian(火星の人)』の著者としても知られています。
物語は、記憶を失った状態で宇宙船の中で目覚めた科学教師ライランド・グレースが、太陽を死に至らしめる謎の物質から地球を救う「一か八かのミッション」に挑む——というストーリー。タイトルの「Project Hail Mary」は、まさに「最後の望みを託した、成功するかどうかわからない計画」を意味しています。
例文・使い方
Hail Mary は悪い意味?ポジティブな意味?
Hail Mary はニュートラルから若干ネガティブ寄りのニュアンスです。
「一か八か」という表現が示すように、成功率が低く、リスクが高い行動を指すため、計画性のなさや desperate な状況を暗示します。「Hail Mary を投げざるを得ない時点で、すでに状況はかなり悪い」ということです。
ただし、文脈によってはポジティブにも使われます。
あわせて読みたい言葉
Hail Mary と近い文脈で使われるスラングやミームを見ておくと、ニュアンスの違いがわかりやすくなります。
まとめ
Hail Mary は「一か八かの試み」を意味する英語表現で、1975年にNFLのロジャー・ストーバックが試合後に「目を閉じてアヴェ・マリアを唱えた」と語ったことから広まりました。
アメフトの試合終了間際のロングパスから始まり、現在ではビジネス、政治、恋愛、日常会話まで幅広く使われる表現です。2026年にはライアン・ゴズリング主演の映画『Project Hail Mary』が世界的大ヒットとなり、「一か八かの最後の希望」というこの言葉の意味を体現する作品として、表現の知名度をさらに高めました。
絶体絶命の状況で使われる表現だけに、映画やドラマ、スポーツ中継でも印象的なシーンで登場することが多いので、ぜひ注目してみてください!

