humble brag の意味とは?
humble brag(ハンブルブラグ)とは、謙遜しているふりをしながら実際には自慢をすることを意味する英語スラングです。
「humble」は「謙虚な」、「brag」は「自慢する」という意味で、この二つの相反する言葉を組み合わせた表現です。
典型的な humble brag は「仕事のオファーが多すぎて全部断るのが大変」「毎日ジム行かなきゃいけないから疲れてる」のように、一見愚痴・謙遜に見えながら実際には自分の成功・人気・努力を誇示する発言です。
SNS文化で頻繁に見かけるため「SNS時代の自慢の様式」とも言われており、ハーバード大学と UNC の共同研究で「humble brag は普通の自慢よりも好感度が低い」という結果が出ていることでも知られています。
humble brag はどんな時に使う?
SNS 投稿への批判・指摘として
「こんな高級レストラン、落ち着かなくて困る」「モデルに間違われるのが嫌」「疲れすぎて困る……今日も会議が5つもあった」
こうした謙遜を装った自慢投稿を見かけたときに「That’s a humble brag(それ humble brag じゃん)」と批判・指摘する文脈で使われます。
就活・面接での「弱点」質問に対して
「あなたの弱点は何ですか?」という面接定番の質問への回答として「完璧主義すぎてしまうところです」「真面目に働きすぎてしまうところです」のような答えは、Harvard Business School の研究によると回答の77%が humble brag と認識されているとされています。
この文脈でも「Stop humble bragging in interviews(面接で humble brag するのやめて)」のように使われます。
自虐的・メタ的な自己言及として
「Sorry for the humble brag, but I just found out I got promoted!(humble brag になるけど、昇進が決まったんだ!)」のように、自分の発言が humble brag になっていることを自覚しながら前置きとして使うパターンもあります。
この場合は「自慢なのはわかってるけど聞いて」という正直さを示す形で、相手への配慮として機能します。
humble brag の元ネタ・由来
Harris Wittels による造語(2010年11月〜)
humble brag という言葉を作ったのは、アメリカのコメディアン・脚本家の Harris Wittels(1984〜2015年)です。Parks and Recreation(パークス・アンド・レクリエーション)の脚本家・エグゼクティブプロデューサーとして知られた彼は、Twitter が普及した頃に芸能人や一般ユーザーが投稿する「謙遜を装った自慢ツイート」の多さに苛立ちを覚えたと述べています。
Wittels は2010年11月に Twitter アカウント @humblebrag を開設し、自分が humble brag と判断したツイートをリツイートして晒す形で発信を始めました。最初のリツイートは俳優 Matt Braunger が「Bryan Cranston との撮影2日目がもうすぐ終わる」と投稿したものとされています。
このアカウントが一気に人気を集め、Wittels 自身は Wall Street Journal のインタビューで「もともと心の中でイライラしてただけだったが、冗談にして、じゃあやってみようとなった」と語っています。
American Dialect Society の「最も有用な言葉」選出(2011年)
Twitter アカウントの人気が高まるにつれ、humblebrag という言葉は急速に広まりました。
American Dialect Society は 2011年 に humblebrag を「最も有用な言葉(most useful Word of the Year)」に選んでいます。
同年2月24日には Urban Dictionary にも登録されました。
Grantland 連載・書籍出版(2011〜2012年)
人気をさらに押し上げたのが、2011年6月から2012年10月まで続いた Grantland(ESPN 系のスポーツ・ポップカルチャー誌)での連載コラムです。
各界の著名人の humble brag を集めてランキングと辛口コメントをつけるという内容で、2012年9月25日には書籍「Humblebrag: The Art of False Modesty」として出版されました。
なお Wittels は2015年2月19日に30歳で亡くなっており、この著書は彼の代表的なレガシーのひとつとされています。
Harvard・UNC の共同研究が「humble brag は逆効果」と証明(2015年〜)
humble brag の興味深い点は、心理学・行動科学的な研究対象にもなっていることです。
ハーバード・ビジネス・スクールとノースカロライナ大学(UNC)の共同研究チームが Journal of Personality and Social Psychology に発表した論文では、9つの実験を通じて以下が明らかになっています。
普通に自慢する人・愚痴を言う人よりも、humble brag をする人の方が「好感度が低く・能力も低く見える」という結果が出ています。
研究者の Ovul Sezer は「人々は謙遜と自慢を両立できると思って humble brag するが、実際には両方を失っている」と述べています。
例文・使い方
humble brag は悪い意味?ポジティブな意味?
基本的にはネガティブ・批判的なニュアンスで使われます。
謙遜しているふりをしながら実際には自慢している偽善的な態度を指摘する言葉だからです。
ただし使われ方には2つのパターンがあります。
批判・指摘として使う場合は「あれは humble brag だ」と相手の発言を皮肉る形です。
自己言及として使う場合は「sorry for the humble brag」と自分の発言を自覚しながら前置きする形で、正直さを示すユーモアとして機能します。
ハーバードの研究が示す通り、humble brag は「普通の自慢よりも嫌われる」傾向があります。
愚痴を言う人・ストレートに自慢する人よりも humble brag をする人の方が好感度・能力評価ともに低くなることが実験で確認されており、「どうせ自慢するなら素直に自慢した方がいい」という結論が出ています。
あわせて読みたい言葉
humble brag と近い文脈で使われるスラングやミームを見ておくと、ニュアンスの違いがわかりやすくなります。
まとめ
humble brag は「謙遜しているふりをしながら実際には自慢をしている言動」を指すスラングで、ハーバード大学・UNC の共同研究では「humble brag は普通の自慢よりも好感度・能力評価ともに低くなる」という逆効果が科学的に示されており、どうせ自慢するなら素直に自慢した方がいいという結論が出ています。
SNS で「これって humble brag では?」と感じた瞬間に使える、現代のネット文化を読み解く上で欠かせない言葉です。

