slop の意味とは?
slop(スロップ)は「低品質で雑に量産されたコンテンツ」を指すスラングです。
特に AI ツールを使って大量生成された画像・文章・動画・楽曲など、数は多いのに中身が薄く、手間をかけずに作られたコンテンツを批判する言葉として広く使われています。
Merriam-Webster は slop を 「低品質であり、通常は AI(人工知能)によって大量に生成されるデジタルコンテンツ」 と定義しており、2025年の「今年の言葉(Word of the Year)」に選定しました。
同年、American Dialect Society・オーストラリアの Macquarie Dictionary も同様に slop・AI slop を今年の言葉に選んでおり、3つの主要な言語権威が同じ言葉を選ぶ「トリプルクラウン」という異例の事態になっています。
AI 生成コンテンツだけでなく、似たような構成で量産される動画・記事・楽曲など「人間が作ったものでも手抜きで量産されたコンテンツ」全般を指すこともあります。
slop はどんな時に使う?
AI 生成の粗悪コンテンツを批判する時
「My feed is full of AI slop(自分のフィードは AI slop だらけだ)」
「Another day, another pile of content slop(今日もまた質の低いコンテンツが山ほど流れてくる)」
のように、SNS のフィードに流れてくる AI 生成の低品質コンテンツへの不満を表す時に使います。
Facebook・Instagram・TikTok などで大量に拡散する AI 生成画像・動画・記事を指す言葉として特によく使われます。
YouTube・動画プラットフォームの低品質コンテンツを指す時
slop はもともと YouTube の低品質なリアクション動画・ドラマへの反応動画・「reaction bait」(反応を誘う雑な動画)を指す言葉として2023年頃から使われ始めました。
「second monitor content(食事や家事をしながらながら見する程度のコンテンツ)」という概念と重なり、「真剣に見るほどの価値はないが消費され続けるコンテンツ」を指します。
量産型の楽曲・書籍・記事を指す時
「These songs all sound the same. It’s just slop at this point(こういう曲、どれも同じに聞こえる。もう完全に slop だよ)」のように、AI で大量生成された Spotify 楽曲・Amazon の AI 書籍・SEO 目的だけの記事なども slop と呼ばれます。
2024年の New York Magazine の記事では「slopper(slop を作る人)」という言葉も登場しており、AI slop をコンテンツとして販売・収益化する人々が社会問題として取り上げられています。
政治・メディアの文脈で偽情報を指す時
2024年のハリケーン・ヘレーン被害の際に、被災地の AI 生成フェイク画像が SNS で拡散し、共和党支持者が政治的に利用した事件が大きく報道されました。
Wired は Trump を「最初の AI slop 大統領(The first AI slop President)」と評しており、政治的なプロパガンダとしての AI slop という文脈でも広く使われています。
slop の元ネタ・由来
「泥・家畜の餌・粗悪品」という語源(1700年代〜)
slop は1700年代に「軟泥(soft mud)」を意味する Middle English 由来の言葉として記録されています。
その後1800年代には「家畜に与える食べかす・残飯(swill)」という意味で使われ、1950年代には比喩的に「価値のないもの・くだらないもの」という意味に発展しました。
1990年代にはすでに「粗悪なメディア製品」を指す意味で使われていた記録があり、現在の「AI 生成の低品質コンテンツ」という意味は、この長い意味変化の延長線上にあります。
Merriam-Webster は「slop にはスライム・泥・ぬかるみと同じような不快な響きがある、触れたくないものの音がする」と評しています。
4chan・Hacker News・YouTube での「AI slop」の誕生(2022〜2023年)
slop が AI 生成コンテンツのスラングとして使われ始めたのは2022年頃で、AI 画像生成ツールの一般普及に伴う低品質コンテンツの増加への反応として 4chan・Hacker News・YouTube のコメント欄で使われ始めました。
2023年6月20日には Reddit ユーザー /u/ausyappy が YouTuber Pyrocynical に関連した「WE LOVE SLOP」という投稿をしており、低品質なリアクション動画・ドラマ反応動画という文脈での使用が記録されています。
イギリスのプログラマー Simon Willison がブログ記事で「slop は不要な AI コンテンツの標準的な呼び名になるべきだ。ちょうど spam が不要なメールの標準呼称になったように」と主張したことも、この言葉の普及を後押ししました。
Google AI Overview・ハリケーン Helene・Facebook「Shrimp Jesus」による爆発的普及(2024年〜)
slop の人気は2024年第2四半期に急上昇しました。
2024年5月に Google が検索結果に Gemini AI を使った自動生成要約「AI Overview」を導入し、「岩を食べると健康に良い」などの誤情報を含む回答が続出して批判を集めたことが大きなきっかけです。
同年、Facebook 上で「Shrimp Jesus(エビがキリスト像の形をした AI 生成画像)」と呼ばれる AI 生成の奇妙な画像が大量に拡散し「Facebook AI Slop」というミームが生まれました。
2024年9月のハリケーン・ヘレーン被害での AI フェイク画像拡散も大きく報道されたことで、slop という言葉が一般認知に達し、2024年12月には Merriam-Webster が slop を「2025年の今年の言葉」として発表しました。
例文・使い方
slop は悪い意味?ポジティブな意味?
slop は完全にネガティブな批判語です。
ポジティブな文脈ではほとんど使われません。
shitpost(わざとくだらなく面白おかしく作られたネタ投稿)とは異なる点が重要です。
shitpost には「あえて雑で面白い」というユーモアがありますが、slop は「見せられても困る・見る時間が無駄になる粗悪品」という感覚で使われます。
意図的に雑なのではなく、手間をかけずに大量生成した結果として粗悪になっているという違いがあります。
Merriam-Webster の Greg Barlow 会長は「slop への注目は人々がフェイク・粗悪なコンテンツへの意識を高めた証拠で、本物を求めているサインだ。AI による人間の創造性の代替に対して反抗的な言葉だ」と述べており、slop という言葉自体が「本物のコンテンツへの渇望」を反映しているという指摘があります。
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まとめ
slop は「低品質で雑に量産されたコンテンツ、特に AI で大量生成された粗悪なデジタルコンテンツ」を指すスラングです。
1700年代の「軟泥」という語源から「家畜の残飯→粗悪品→AI 生成コンテンツ」へと意味が変化し、2022年頃に 4chan・Hacker News などで AI 生成コンテンツへのスラングとして使われ始め、2024年の Google AI Overview 騒動・Facebook の「Shrimp Jesus」・ハリケーン Helene の偽画像拡散を経て一般語化しました。
2025年には Merriam-Webster・American Dialect Society・Macquarie Dictionary の3つの主要言語権威が「今年の言葉」に選ぶ異例の事態になっており、AI 時代を象徴するキーワードとして定着しています。

