Political Correctness(ポリコレ) とは?「政治的正しさ」が批判語になった経緯・使い方を解説

Political Correctness(ポリコレ) とは?「政治的正しさ」が批判語になった経緯・使い方を解説 ネット用語

Political Correctness の意味とは?

Political Correctness(ポリティカル・コレクトネス)とは、人種・性別・宗教・性的指向・障害などに関して、差別的・攻撃的でない言葉や表現を使うべきだという考え方・規範を指します。
日本語では「政治的正しさ」と訳され、略して「PC」、日本語圏では「ポリコレ」とも呼ばれます。

現在の英語圏では公の言論・メディアでは主に批判的・皮肉的な意味で使われることが多く、「このポリシーは過剰で不必要だ」という含意を伴いがちです。
一方で社会正義・多様性を重視する立場からは、マイノリティへの配慮として肯定的に使われます。

日本語の「ポリコレ」は英語の PC/political correctness に対応し、「ポリコレ棒で叩く」「ポリコレ配慮で改変された」のように批判的な文脈で使われることが多いですが、「ポリコレを守る」「ポリコレ的に正しい」のように中立〜肯定的に使われることもあります。

Political Correctness はどんな時に使う?

言葉遣い・表現の配慮を推奨・議論する時

「Using inclusive language is part of being politically correct(包括的な言葉を使うことは政治的に正しくあることの一部だ)」のように、差別的・攻撃的な表現を避けることを指示・推奨する場面で使われます。
職場のガイドライン・学術論文・メディアのスタイルガイドでよく登場します。

過剰・行き過ぎだと批判する時

現代のネット文化・保守系コメンテーターの文脈では「PC culture has gone too far(PC文化が行き過ぎている)」「stop being so PC(そんなにポリコレにこだわるな)」のように、言葉の規制・表現の制約への不満を表す文脈での使用が目立ちます。
映画・ゲーム・テレビ番組の内容変更を「ポリコレ改変だ」と批判する際によく使われます。

woke との対比・セットで使う時

wokePC(ポリコレ)はしばしばセットで語られますが、ニュアンスに違いがあります。PC が主に「言語・表現の具体的な規範」を指すのに対し、woke はより広い「社会的意識・思想・姿勢」を指す点が異なります。
「PC すぎる(ポリコレすぎる)」と「woke すぎる」はほぼ同じ批判として使われますが、完全に同義ではありません。

Political Correctness の元ネタ・由来

語源:ソビエト・ナチスドイツ時代の「正しい思想」(1930年代〜)

「politically correct」という表現が最初に登場したのは1930年代で、ナチスドイツやソビエトロシアなどの全体主義体制において「正しいイデオロギーに沿った思想・発言かどうか」を指す文脈で使われていました。
共産主義の文脈では「党の路線に忠実かどうか」を表す言葉として機能しており、この時点では現代的な意味とは異なります。

アメリカ左派による自己批判的な使用(1970〜80年代)

1970〜80年代のアメリカの New Left(新左翼)・フェミニスト・進歩派の間では、「politically correct」は自己批判的な皮肉として内部で使われていました。
自分たちの運動の中で「ドグマにとらわれすぎている人」を皮肉るための言葉で、真剣な運動名ではなく内輪ジョークに近い使われ方でした。Toni Cade Bambara が1970年のエッセイ「The Black Woman: An Anthology」でこの表現を使っているのが初期の記録として残っています。

保守派による批判語への転換・大学論争(1987〜1991年)

転換点は1987〜1991年の大学キャンパスでの言論自由論争です。
Allan Bloom の著書「The Closing of the American Mind」(1987年)をきっかけに大学での言論規制への批判が高まりました。
1990年10月に New York Times の Richard Bernstein が「The Rising Hegemony of the Politically Correct」という記事を発表し、この時点で PC という言葉が批判的な文脈で急速に広まり始めました(New York Times での引用数:1990年70件→1991年1,532件→1994年7,000件以上)。
保守派論者 Dinesh D’Souza の著書「Illiberal Education: The Politics of Race and Sex on Campus」(1991年)はベストセラーとなり、「PC が大学キャンパスの表現の自由を侵害している」という議論を全国的に広めました。
そして1991年5月、ジョージ・H・W・ブッシュ大統領がミシガン大学の卒業式のスピーチで「The notion of political correctness has ignited controversy across the land(ポリコレという概念は、この国全土で論争に火をつけた)」と言及したことで、この言葉は完全にメインストリームに浸透しました。

インターネット時代・SNS での再拡大(2010年代〜現在)

2010年代以降、PC・ポリコレという言葉は SNS の普及とともに再び大きな議論のテーマになりました。
特に woke という言葉の台頭と連動しており、映画・ゲーム・テレビ番組への「ポリコレ改変批判」がネット上で頻発するようになりました。
日本語圏でも「ポリコレ」という略語が英語の PC に相当する批判語として広く使われるようになっています。

例文・使い方

Some people think political correctness has gone too far.
→ 一部の人は、ポリコレが行き過ぎていると考えている

A: Is that joke politically correct?
B: Depends who you ask.
(A:そのジョークってポリコレ的にOK?
B:誰に聞くかによるよ

That scene was changed for PC reasons.
→ あのシーンは ポリコレ的な理由で変更された

Political Correctness は悪い意味?ポジティブな意味?

文脈と使う人の立場によってポジティブにもネガティブにもなる、非常に政治化した言葉です。

ポジティブな文脈差別・偏見をなくし多様性を尊重する配慮として使われます。スタイルガイド・職場ポリシー・学術論文では中立〜肯定的な意味で使われることが多いです。
ネガティブ・批判的な文脈「過剰な言葉狩り」「表現の自由の侵害」「ドグマ的な規制」として使われます。英語圏のメディアや公の言論では批判的含意を持つ使い方の方が目立ちます。

woke との違いとして、PC が主に「言語・表現の具体的な選択基準(何を言ってよいか・いけないか)」に関わるのに対し、woke は「社会的不公正への意識・思想・世界観」という、より広い概念を指します。
「ポリコレすぎる映画」と「woke すぎる映画」はほぼ同じ批判として機能しますが、厳密には PC が言語・表現のレベル、woke が思想・メッセージのレベルの問題を指すことが多いです。

あわせて読みたい言葉

Political Correctness と近い文脈で使われるスラングやミームを見ておくと、ニュアンスの違いがわかりやすくなります。

まとめ

Political Correctness は、(PC・ポリコレ)は「差別的でない言葉や表現を使うべきだという考え方・規範」を指し、日本語では「政治的正しさ」「ポリコレ」と訳されます。
1991年5月にはブッシュ大統領がスピーチでこの言葉を用い、完全にメインストリームの言葉になりました。

賛否が鋭く分かれる政治的な言葉であるため、話者の立場と文脈を読み取ることが理解の鍵です。

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