POC は何の略?「有色人種」を表すSNS・英語圏で使われる略語の意味・由来を解説

POC は何の略?「有色人種」を表すSNS・英語圏で使われる略語の意味・由来を解説 ネット用語

POC の意味とは?

POC「Person of Color(有色人種)」または「People of Color(有色人種の人々)」 の略語です。白人(white)以外のすべての人種・民族グループを包括的に指す言葉として、主に英語圏のアメリカ・カナダで使われます。黒人(Black)・アジア系(Asian)・ヒスパニック・ラテン系(Hispanic/Latino)・先住民(Indigenous/Native American)・太平洋諸島系(Pacific Islander)など、多様な背景を持つ人々をまとめて表す際に用いられます。

現在の意味でのこの言葉はアメリカで生まれた表現で、2010年代以降は英国・カナダ・オーストラリアなど英語圏全体に広まっています。ニュース記事・学術論文・SNS上の社会問題の議論・企業のダイバーシティ施策(DEI)などで頻繁に登場します。

ただし「POC という一括りの表現はアイデンティティの多様性を損なう」という批判も根強く、状況によっては個別の民族・人種名を使う方が適切なケースもあります。

POC はどんな時に使う?

社会正義・差別・多様性の議論で

「POC communities(有色人種のコミュニティ)」「POC creators(有色人種のクリエイター)」のように、特定のグループへの影響や代表性を語る文脈で使われます。ニュース・学術・活動家の文章では、白人と非白人の経験の違いを対比して語る場面でよく登場します。

自己紹介・アイデンティティ表明として

As a POC, I…(有色人種として、私は…)」のように、自分の立場や経験を語る際に使われます。ただし Wikipedia が指摘するとおり、当事者の多くは POC という包括的な表現よりも「Black」「Asian」「Latina」などより具体的な自己表現を好む場合も多いです。

メディア・企業のダイバーシティ関連の文脈で

「amplify POC voices(有色人種の声を増幅する)」「representation of POC in media(メディアにおける有色人種の表現)」のように、表現・雇用・機会の平等を語る文脈でよく使われます。AP スタイルガイドは「people of color」という表現は認めていますが、略語「POC」については正式には承認していないと記録されています。

POC の元ネタ・由来

「free people of color」の歴史的起源(18世紀〜)

people of color」という表現そのものは、実は非常に古い歴史を持ちます。AAIHS(アフリカ系アメリカ人知的史学会)の研究によると、英語圏では少なくとも18世紀から使われており、フランス語植民地では「gens de couleur libres(自由有色人)」という表現が奴隷制時代のルイジアナで広く使われていました。19世紀のフィラデルフィアでは、黒人コミュニティが自ら「free men of color(自由有色人)」という言葉を地域組織の設立文書に使っており、1832年にはオハイオ州の公民権活動家 Reverend David Nickens が「Address to the People of Color in Chillicothe」と題した演説を行っています。つまりこの言葉は白人から押し付けられたものではなく、当事者が誇りをもって使ってきた長い歴史を持っています。

公民権運動後の「colored people」から「people of color」への転換(1960〜70年代)

それまで広く使われていた「colored people(有色人)」という表現は、Jim Crow 時代の人種隔離法(「Colored Only」などの標識)と強く結びついており、差別的な文脈と不可分でした。Cambridge 学術誌に掲載された研究によると、1960年代の公民権運動を経て1970年代中頃に、黒人以外のマイノリティグループも公民権運動の枠組みに加わるようになったことが「people of color」という包括的な概念が再び浮上した背景です。語順を「colored people」から「people of color」に変えることで、「人を先に置く(person-first language)」という尊厳の意識が表れています。

SNS・活動家コミュニティでの「POC」略語化(2010年代〜)

POC という略語が現代的な意味で SNS 上に広まったのは主に 2010 年代とされていて、Google Trends のデータでも 2000 年代初頭から POC の検索数が緩やかに増加し、2016年と2020年にスパイクが見られます。2020年5月のジョージ・フロイド殺害をきっかけとした Black Lives Matter 運動の高まりとともに、POC・BIPOC という表現が爆発的に拡散しました。この時期、BIPOCという表現も急増しましたが(Twitter での最古の使用は2013年とされています)、2020年以降は両語とも使用頻度が落ち着いてきている傾向もあります。

例文・使い方

This panel discussion features voices from POC in the tech industry.
→ このパネルディスカッションでは、テック業界の有色人種の声を取り上げています
As a POC, I often feel underrepresented in mainstream media.
→ 有色人種として、私は主流メディアで過小評価されていると感じることが多いです
The organization is working to amplify POC creators on social media.
→ その組織は、ソーシャルメディア上の有色人種クリエイターの声を拡大しようと取り組んでいます

POC は悪い意味?ポジティブな意味?

POC 自体は中立的・包摂的な表現として使われており、尊重と連帯を示す言葉として機能します。スタンフォード大学ビジネススクール・マウントホリヨーク大学などのスタイルガイドは、「person of color」を他の代替表現より推奨しています。

一方で批判も根強くあり、いくつかの観点からこの言葉への異議が唱えられています。

まず「一括りにしすぎる」という批判があります。黒人・アジア系・ラテン系・先住民などがそれぞれ異なる歴史・経験・課題を持つにもかかわらず、POC という一語に括ることでその差異が見えにくくなるという指摘です。実際に「I’m Black, don’t call me POC(私は黒人だ、POCと呼ぶな)」という声も当事者から挙がっています。

また「どこまでを POC に含めるか」という線引きの問題もあります。ヒスパニック系・ラテン系の中には白人と認識する人も多く、一律に POC に含めることへの批判もあります。

こうした理由から、具体的な文脈ではより個別の表現(Black、Asian American、Indigenous など)を使う方が適切なケースも多く、相手のアイデンティティに合わせた言葉選びへの配慮が求められます。

あわせて読みたい言葉

POC と近い文脈で使われる略語や関連表現を見ておくと、英語圏の社会問題への理解が深まります。

まとめ

POC は「Person/People of Color」の略で、白人以外の有色人種を包括的に指す英語表現です。「people of color」という言葉自体は18世紀から当事者自身が誇りをもって使ってきた長い歴史を持ちますが、現代的な略語「POC」としての普及は主に2010年代以降のSNS文化によるものです。

尊重と連帯を示す中立的な表現として広く使われる一方、個々のアイデンティティの多様性を一括りにしすぎるという批判も根強く、文脈に応じてより具体的な個別の表現を使う配慮も求められます。英語圏のニュースやSNSで社会問題を読み解く上で欠かせない言葉のひとつです。

英語圏のニュースやSNSで見かけたときは、こうした背景を思い出してみてください!

英語圏の社会問題やリアルな議論を理解したいなら、こうした略語を知るのが第一歩です!

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